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小林泰三 「人獣細工」

 小林泰三さんの小説「人獣細工」は、1997年6月に発売され、1999年12月に文庫化されています。
 本棚の中には購入して未読のまま長い間放置されている本があったりしませんか?私の本棚にはそんな本が結構あり、「人獣細工」は最近になって本棚から発掘した本の一冊です。確か以前に「玩具修理者」を読んだときに合わせて購入してそのままにしていました。ホラー小説って、怖くて読むのに勇気がいるんですよね。何故買った・・・。
 それでは以下、小林泰三さんの「人獣細工」に収録された3つの作品のあらすじを記載します。ネタバレ注意です。

<人獣細工>
 夕霞は、先天性の病気でほとんどの臓器に欠陥があり、生後まもなくから度重なる移植手術を受け続けていました。夕霞の父は臓器移植の専門家で、夕霞の移植手術は全て父が行ってきました。夕霞は無事に大人まで成長し、父が病気で死亡し、夕霞は父の部屋に保管されていた研究記録を調べ始めます。
 この時代、臓器移植には遺伝子操作された豚の臓器が用いられるようになっています。この移植方法は夕霞の父の研究によるもので、夕霞は豚の臓器移植の初期の成功例でした。夕霞への豚の臓器移植は産まれた直後から何度も何度も繰り返し行われていました。夕霞は自分の身体が人のものなのか豚のものなのか分からなくなってきます。
 夕霞には母がおらず、高校生の頃にそのことを父に問い詰めると、父が優秀な女性の卵子を購入して代理母に産ませた子供が夕霞だと話します。
 夕霞の身体は繰り返される移植手術で継ぎ接ぎだらけでした。その事を恥ずかしく思っていることを夕霞が高校生の頃に初めて父は知り、父は皮膚の移植手術を行う事を提案します。夕霞は、産まれたときから肩にある痣を残して皮膚移植するよう父に頼みます。夕霞にはこの痣が唯一の人間である事を示す印のように感じていました。
 父の研究記録を調べ始めてしばらくして、高校時代の友人の佐織が訪ねてきます。佐織は、夕霞が痩せ細っていることを、自分の事をを人豚と呼んでいることを心配します。
 夕霞は、研究記録の中で最も古い記録と思われるビデオテープを発見します。そのビデオテープには、母豚が遺伝子操作された異様な沢山の子豚を産み続ける場面が写されていました。夕霞は、その沢山の子豚の中に、自分の肩の痣と同じ痣を持つ子豚を発見します。

<吸血狩り>
 8歳の男の子「一ちゃん」は、夏休みを田舎の祖父母の家で過ごします。祖父母の家では従姉弟の2人も同じく夏休みを過ごします。15歳の女の子「優ちゃん」と、8歳の男の子「正ちゃん」です。優ちゃんが一ちゃん及び正ちゃんの2人の面倒を見て3人で遊ぶ毎日が過ぎていきますが、ある日、優ちゃんは2人を置いてどこかへ行ってしまいます。優ちゃんは夕方には戻って来ましたが、それから毎日、2人を置いてどこかへ行くようになります。
 優ちゃんが今では使われなくなった小屋に通っているようで、一ちゃんは姿を消した優ちゃんを追って小屋へ向かいます。小屋へ向かう途中、一ちゃんは見知らぬ大男に出会います。一ちゃんは、男がこの世のものではないと感じます。男は一ちゃんに話しかけてきて、あの娘はもう俺のものだと言います。そして男は、ゲームだと言い、何ができるか見せてみろと言って去ります。その夜に一ちゃんは男の事を優ちゃんに話し、優ちゃんはからかわれたのだと相手にしません。
 一ちゃんは、男に対抗するために、ニンニクや十字架などを集めようとしますが、身近にはすぐに見つかりません。一ちゃんは、たくさんの鏡を集め、次の日に小屋の周りに沢山の鏡を貼り付けます。小屋にやってきた男は、石を投げて鏡を割り、一ちゃんに合格だ明日も来いと言って小屋へ入って行きます。
 次の日、一ちゃんは祖母が餃子の材料に買ってきたニンニクを盗み出し、小屋の周りにニンニクを吊します。小屋にやってきた男は、ニンニクは克服したと言って食べてしまいます。男は、今日も合格だと言って小屋に入って行きます。その夜、夕食のときに祖母が男に会ったと話し、男がゲームは明日で終わると話したと言います。夕食後、優ちゃんが男から借りたという本を読んでおり、題名は「ししょくきょうてんぎ」でした。
 次の日、一ちゃんは、物置からホースを持ち出し、小屋の周りをホースで囲んで水を流します。その後に現れた男は、今日はお前の勝ちだと言って、小屋へ入らずに去ります。去り際に男は、ゲームは今日で終わりだと言い残します。
 次の日、一ちゃんは、木の枝を削って十字架を作ろうとしますが、上手くいきません。一ちゃんは、十字架を諦めて、別の方法を考え、準備を始めます。準備が整ったとき、既に夕方になっており、一ちゃんが小屋へ行くと、男は既に優ちゃんと共に小屋の中にいるようでした。一ちゃんは小屋に忍び込み、ベッドの上にいる男と優ちゃんを見つけます。一ちゃんは、手に持っていた木の枝、ナイフで削って先を尖らせた木の枝を男の胸に突き刺します。こうして一ちゃんは、吸血鬼を殺しました。

<本>
 滝川麗美子に間山伊達緒からの郵便が届き、中には古びた本が入っていました。麗美子は、間山が小学校の同級生だった事を思い出します。本は「芸術論」というタイトルで、著者は間山伊達緒でした。本には決して読み飛ばしてはいけないなどの注意が記載され、著者が「名付けることが禁じられた土地、ゲリル」を訪れるというような内容のようでした。
 麗美子は、小学校以来の友人である中村未香に電話します。未香は間山の事を覚えていませんでしたが、麗美子と話しているうちに間山の事を思い出します。そして未香にも間山から同じ本が届いていました。
 その後、麗美子は、間山の「芸術論」を摘み読みします。未香は、読み飛ばす事なく「芸術論」を読み進めます。未香は、恋人の高菜信士の妹の密見子に電話し、小学校の同級生の連絡先を尋ねます。密見子も未香及び麗美子の小学校の同級生です。麗美子及び未香は、日曜日に高菜家へ遊びに行く事になります。
 日曜日。麗美子及び未香が高菜家へ着くと、ピアノの音が聞こえてきます。そのピアノの演奏は、2人には完全な音楽に聞こえ、2人は一瞬恍惚状態になりますが、ピアノの音が僅かに歪み、2人は正気に戻ります。2人が家に入ると、信士及びその両親が倒れて気を失っていました。2人は信士を起こし、密見子の部屋へ向かいます。密見子は血を流しながら一心不乱にピアノを弾いていました。密見子の右手の人差し指は折れており、それがピアノの音が歪んだ原因のようでした。信士及び麗美子が密見子を止めようとしますが、2人は投げ飛ばされ、その拍子に密見子の指は千切れてしまいます。その後、救急車及び警察が来て、密見子は入院し、3人は警察の取り調べを受けます。
 未香は密見子から借りた名簿を基に、10人程に連絡を取り、間山の本が全員に届いている訳ではないことを突き止めます。本が届いた人は間山の事を覚えいるのに、本が届いていない人は間山の事を覚えていないようでした。更に未香が調べた結果、この2ヶ月間に同級生の3人が死亡し、5人が入院し、2人が行方不明である事が分かります。未香は、間山の本の呪いと考えていました。呪いへの対処法を探るため、麗美子及び未香は、残りの人達にも手分けして連絡を取る事にします。その結果、本を最後まで読んだ人が異常な行動を起こしていると推測できました。
 信士から両親がおかしくなったと未香に連絡があります。両親は急にダンスを踊り出し、信士が止めようとして投げ飛ばされ、両親はそのまま姿を消したとの事でした。両親は間山の本を読んでいないはずでした。未香からその話しを聞いていたとき、麗美子は自分の記憶が2日間ほど抜け落ちている事に気付きます。
 翌日、麗美子及び未香は高菜家へ向かいます。高菜家では信士がそこら中に落書きのような絵を描いていました。麗美子は、異常な信士に話しを合わせて何とか会話し、信士が絵の才能に目覚めた(と思っている)のは、密見子のピアノを聞いた事がきっかけようだと推測します。信士は家を飛び出して車にひかれ、救急車で運ばれて行きます。
 麗美子は、これ以上の被害が広がる事を防ぐため、本を持って警察へ相談しに行こうとします。その途中、気が着くと麗美子の服は血で真っ赤に染まっていました。麗美子は、自宅へ戻ろうとしますが、自宅へ戻る道の途中、その道が目の前にせり上がってきます。麗美子は、とうとう自分の精神が崩壊していくと覚悟します。そして麗美子は、間山伊達緒は実在せず、本を手にした人間に間山の偽の思い出が植え付けられるのだと気付きます。気が着くと、麗美子の目の前には間山伊達緒がいました。間山は、「相応しき者」を探していると言い、麗美子に自分の花嫁になれと言います。しかし間山は、自分が麗美子の中で自己実現して一体になれるはずだったけれど、駄目だと言います。それは、麗美子が本を飛ばし読みしたためでした。
 気が着くと、麗美子は病院のベッドの上でした。未香は、麗美子が血まみれで道路に倒れていたと教えてくれます。麗美子は、本を読んだ者は「絶対芸術家」になり、「相応しき者」でなければ暴走してしまうという事を理解していました。未香は、最近料理に凝っており、退院したら料理をご馳走すると麗美子に言います。麗美子は、未香の料理は芸術的なものだろうと考え、涙を流します。
 ・・・という内容の本を、「名付けることが禁じられた土地、ゲリル」の野外図書館で間山伊達緒は読み終えます。

 以上が、小林泰三さんの「人獣細工」に収録された3つの作品です。
 1つ目の「人獣細工」が一番怖かった気がします。人→豚の恐怖から、豚→人の恐怖へと判定するラストが秀逸でした。
 2つ目の「吸血狩り」は、少年の思い込みという結末に早い段階で予測できてしまいました。ただ、少年の思い込みにしては、男の態度が謎な部分もあり、納得できるようなできないような。調べてみたところ、少年の思い込みという結末と、男が本当に吸血鬼だったという結末とのいずれでもよいと作者は述べているようです。何だか中途半端な作品です。
 3つ目の「本」は、ジャパニーズホラーの名作「リング」と、クトゥルー神話の何か(「時間からの影」あたり?)とをミックスしたような作品でした。怖いような、コミカルなような、独特な雰囲気でした。好き嫌いがありそうな作品ですが、私は好きな作品でした。


ダニー・ウェア 「ブラッディ・ローズ」
















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 ダニー・ウェアさんの「ブラッディ・ローズ」は、ウォーハンマー40000の小説作品で、2021年3月に発売されています。
 これまでのウォーハンマー40Kの小説は、戦闘者(スペースマリーン)と呼ばれる遺伝子操作された戦士達が主人公でしたが、今回の「ブラッディ・ローズ」は普通の人間の女性ばかりで編成された部隊を主人公とする物語です。普通の、と言っても、パワードスーツのようなもので全身覆われているので、小説として読む分にはこれまでのスペースマリーンと大差ないのですが。女性ばかりの部隊という設定が、日本のアニメっぽいですが、表紙に描かれた女性の絵はゴツくて怖く、露出度ゼロ。文化の違いを感じます。
 時代は<ホルスの大逆>の後で、ウォーハンマー40Kとしてはデフォルトの時代だと思われます。<ホルスの大逆>の戦いで半死状態となった皇帝が神のような存在として扱われ、主人公の女性達は皇帝を神と崇める「血の薔薇修道会」の修道女です。このため、全体的に宗教色の強い作品になっています。このあたりも、宗教が緩い日本と、宗教が強い西洋との文化の違いを感じます。
 <ホルスの大逆>以前を描いた小説「ホルス・ライジング」では、皇帝は自分を神格化する事を禁じているとされていましたが、この小説「ブラッディ・ローズ」での皇帝はキリスト教で言うところのキリストのような存在として崇められています。皇帝本人の意志に反して皇帝が崇められているという事のようです。実際の宗教もそんなものかもしれませんね。キリストも釈迦も自分の事を崇めて欲しいとは思っていなかったかも。
 それでは以下、ダニー・ウェアさんの小説「ブラッディ・ローズ」のあらすじを記載します。ネタバレ注意です。

 「血の薔薇修道会」の上級修道女フェリシテは、とある惑星の聖堂の復旧及び調査に護衛として派遣されましたが、敵の攻撃を受けて仲間達は全て倒れ、最後の1人となって聖堂で戦い続けていました。敵は<歪み(ワープ)>から生じた脅威でした。フェリシテは、一体でも多くの敵を道連れにすべく決意を固め、チェーンソードを握ります。
 惑星オフィーリアVIIにある<神聖修道院>。上級修道女アウグスタは、副官の修道女ジャトヤと共に、尼僧長イアンテに呼び出されます。イアンテは、以前にアウグスタの部隊がオルク族を排除して安全を確認した惑星ロウティスで修道女フェリシテとの連絡が途絶えた事を話し、惑星ロウティスの再調査を命じます。アウグスタの部隊は、惑星ロウティスへ向かいます。アウグスタの部隊は、副官ジャトヤの他に、修道女ヴィオラ、カイア、メリア、アケミの4人がいます。アケミは、部隊に入ったばかりの新人です。
 惑星ロウティスへ到着したアウグスタ達は、以前には三千人以上の人達が住んでいた街に生命反応が全くない事を知り、街の調査へ向かいます。街には全く人の気配はありません。アウグスタ達は、この街の人々を指導していた司祭カワ・コウムの住んでいた建物内で戦闘の痕跡を発見し、カワが街のジッグラトの方へ連れ去られたと推測し、ジッグラトへ向かいます。ジッグラトは、街には中心に建つ黒い巨大建築物です。ジッグラトの周りには、街の人々の首なし死体が並べられ、台座の上にはカワの死体がありました。
 その後、アウグスタ達は、ロウティスの大聖堂にやってきます。大聖堂には大きな戦闘が行われた形跡が残っていました。ここでアウグスタ達は、大量の魔犬フレッシュバウンドの攻撃を受けます。アウグスタ達はフレッシュバウンドを退けますが、背後にはこの魔犬を使う悪魔の眷属がいるはずです。
 大聖堂の地下でアウグスタ達は、以前にはなかった広大な空間を発見します。この空間は以前には壁で封じられており、アウグスタ達はそれに気付かなかったようでした。この空間へ入って探索を開始したアウグスタ達の前に、化け物となった街の人々が現れます。人々の額には、血の神コーンの印が刻まれていました。獣のようになってしまっている人々の中に、1人だけ正気を保っている男がいました。この男は、カワの信徒の1人で、スブルという名前でした。スブルは、カワを殺してコーン神に捧げ、街の人々を化け物に変えた張本人でした。街の人々はアウグスタ達に襲いかかり、アウグスタ達はこれを倒しますが、スブルは姿を消します。
 スブルを追って地下の奥へと進んだアウグスタ達は、巨大な石像が並ぶ空間へとたどり着きます。ここには、魔犬を操っていた三体のブラッドレターが待ち構えていました。アウグスタ達は、この三体のブラッドレターと戦い、倒します。
 アウグスタ達の目の前の壁が崩れ落ち、巨大な悪魔が現れます。強大な悪魔は、アウグスタ達が戦って勝てる相手ではありませんでしたが、アケミがこの窮地を脱する手立てを思いつきます。それは悪魔を召喚したであろうスブルを倒して悪魔を追放するというものでした。アウグスタはジャトヤとこの場に残って悪魔と戦い、他の4人にスブルを探すよう命じますが、ヴィオラは命令に背いてこの場に止まります。
 アケミ、カイア及びメリアは、スブルを発見しますが、スブルは一体のブラッドレターと三匹の魔犬に守られていました。魔犬がアケミ達に気付いて襲いかかります。
 アウグスタ、ジャトヤ及びヴィオラは巨大な悪魔と戦って時間を稼ごうとしていました。ジャトヤは、悪魔にダメージを与えるべく、何らかの仕掛けをセットしますが、悪魔の持つ斧の直撃を受けて死亡します。アウグスタは、立ち並ぶ石像のひび割れの中に、ジャトヤが仕掛けたクラックグレネードを発見します。アウグスタはグレネードを起爆し、石像が倒れて悪魔に直撃しますが、悪魔を倒す事は出来ません。
 グレネードの爆発の衝撃でブラッドレターは倒れ、この隙をついてカイアがブラッドレターを倒します。アケミは、残ったスブルを倒します。スブルの死により、巨大な悪魔は爆散します。
 こうして惑星ロウティスの脅威は排除され、アウグスタ達の任務は達成されます。

 以上が、ダニー・ウェアさんの「ブラッディ・ローズ」の物語です。
 とある惑星で起こったとある事件をとある部隊が解決した、というかなりローカルな物語でした。「血の薔薇修道会」の修道女達の部隊が主人公で、皇帝への祈りの言葉を唱えながら戦うといった場面が多く、かなり宗教色の濃い作品でした。私が最初に読んだウォーハンマー小説「ブラッド・ライト」にやや近い印象でした。無宗教な私にはイマイチ馴染めないんですよね・・・。
 皇帝が健在だった頃を描いた小説「ホルス・ライジング」では、皇帝が自分を神格化する事を嫌っていたとされていました。この事実を知っているか否かで、「ブラッディ・ローズ」の印象が少し変わってきます。皇帝に祈りを捧げながら悪魔に向かっていく修道女達。感動的な場面なのかもしれませんが、かなり痛い人達の集団に思えてしまいました。
 ウォーハンマー小説は、やや読み難いものが多かったですが、「ブラッディ・ローズ」はサクサク読めました。翻訳が良かったのか、それとも私がウォーハンマー小説に慣れてきたのか、その辺はよくわかりませんが。2020年後半から2021年前半にかけて、続々とウォーハンマー小説が発売されました。フェーズシックス出版さんの頑張りに感謝致します。


夏元雅人 「GUNDAM LEGACY」 第3巻

 夏元雅人さんの漫画「GUNDAM LEGACY」第3巻は、2009年4月に発売されています。
 これまでの1巻、2巻は一話~数話の短編作品で構成されていましたが、この3巻は最初の一話のみ短編読み切りの作品で、残りは連作の一つの物語となっています。この連作の中編作品は、これまでの夏元さんのガンダム漫画に登場したキャラクタが総登場するオールスター感謝祭的な作品になっています。
 それでは以下、夏元雅人さんの漫画「GUNDAM LEGACY」第3巻のあらすじを記載します。ネタバレ注意です。

<RECORD 13:踊る黒い死神>
 宇宙世紀0079年12月。アフリカ戦線では連邦軍によるジオン軍への掃討作戦が行われていました。黒いパーソナルカラーのジム・キャノンに乗るリド・ウォルフ中尉は、元は優秀な戦闘機乗りで、「踊る黒い死神」と呼ばれていましたが、モビルスーツのパイロットに転向してから敵を1機も撃破出来ずにいました。
 作戦で失敗したウォルフ中尉は、基地へ戻った後、所属部隊のビンス隊長に基地の周囲を10周ダッシュを命じられます。ウォルフ中尉が走り追えて休んでいると、基地の入口で1人の女性が守衛に呼び止められていました。女性は現地の住人でネスリーンといい、ビンス隊長にパンの差し入れを持って来ましたが、守衛に追い返されそうになっていました。ウォルフ中尉は、ネスリーンからパンを預かり、ビンス隊長に届けに行きます。
 ビンス隊長は、基地に届いたばかりの荷物を確認するため、倉庫にいました。倉庫には飛行機のようなものが搬入されており、モビルスーツキャリアー「ライトライナー」だとビンス隊長はウォルフ中尉に説明します。ビンス隊長は、ウォルフ中尉が戦果をも止める焦りから戦場での勘を失っているだけだと言い、ライトライナーならウォルフ中尉の勘を取り戻せるかもしれないと話します。ウォルフ中尉から差し入れのパンを受け取ったビンス隊長は、戦争が終わったらネスリーンの気持ちに向き合おうと思っていると話します。
 ウォルフ中尉とビンス隊長が話していると、敵襲を知らせるサイレンが鳴り響きます。ウォルフ中尉のジム・キャノンは修理中のため、ウォルフ中尉はガンキャノンを使う事になります。ビンス隊長の部隊は出撃し、ビンス隊長のガンキャノンは敵のグフの攻撃を受け、ビンス隊長は死亡します。
 その後、何とか敵を退けましたが、近いうちに再度敵の敵襲があることは間違いなさそうです。基地へ戻ったウォルフ中尉は、ビンス隊長の仇を取るために本物の「死神」になると決意し、ガンキャノンをパーソナルカラーの黒色に塗装します。
 ジオン軍の陣地では、翌朝からの進軍再開に向けて準備が進められていましたが、一機の飛行物体の接近を検知します。それは、ライトライナーを装備した黒いガンキャノンでした。ウォルフ中尉の黒いガンキャノンは、迎撃にきたジオン軍のドップを撃墜し、ジオン軍の陣地まで飛行し、陣地のド真ん中へ飛び降ります。黒いガンキャノンは、グフ及びザク等を蹴散らします。
 その後、ウォルフ中尉の黒いガンキャノンは、一週間で21機を撃墜し、「踊る黒い死神」と恐れられます。

<RECORD 14:Reunion at the borderline>
 宇宙世紀0084年4月。月面のエアーズ市近郊の中堅企業バンガー工場で、ジオン残党が人質を取って立てこもる事件が発生します。ジオン残党が人質とした多くの人の中には、この工場でシステムエンジニアとして働いていたメイ・カーウィンがいました。ティターンズの黒いジム・クゥエルが数機出撃し、ジオン残党のザクを倒して、ものの数分で鎮圧を完了します。ジム・クゥエルの1機に乗っていたのはフォルド・ロムフェロー大尉で、フォルドはこの部隊の隊長でした。反乱は制圧されましたが、ジオンの兵士の1人が、メイを連れて逃走します。人質の1人が連れて行かれたとの報告を受けたフォルドは、逃走したジオン兵を追います。
 メイを連れ出したジオン兵は、ジェイク・ガンズでした。ジェイクは、一年戦争が終わった事を認めておらず、ザビ家の支配を脱したジオンが新たな真の戦いを始めているとメイに話します。ジェイクは、システムエンジニアとしてメイの力が必要だと言い、ある機体を飛ばして欲しいと頼みます。
 宇宙港へやってきたジェイクは、隠したモビルスーツで脱出し、仲間の船と落ち合うとメイに話します。メイは、ジェイクの様子に狂気を感じ、ジェイクを拒絶します。そこへ警備員がやってきて2人を発見しますが、ジェイクは問答無用で警備員を撃ち、メイを無理矢理に連れて行きます。モビルスーツを隠した場所へやってくると、1人の男がジェイクを殴り倒してメイを助けます。この男は、元連邦軍士官のマット・ヒーリィでした。マットは、ケン・ビーダーシュタットに頼まれてメイの身の安全を確保しに来たと話します。ケンは、元ジオン軍の士官で、メイが過去に慕っていた人物です。メイは、マットがケンと戦った連邦軍部隊の隊長だった事を思い出します。マットは、今では退役して一般人であり、ケンがジオン共和国軍の部隊長として護るべき者のために戦っているとメイに話します。
 マット及びメイがその場を去ろうとすると、フォルドのジム・クゥエルが現れます。フォルドはメイの身柄を拘束すると言い、マットはそれを拒否します。2人が言い争っていると、ジェイクが乗ったザクが現れます。ジェイクはメイを連れて行こうとしますが、ティターンズのエイガー大尉が乗るジム・キャノンIIがそれを阻止します。ジェイクはティターンズに連行され、マットが元連邦軍人であることを知っていたエイガーは、信頼できると判断してメイをマットに預けます。
 その頃、1機の所属不明よHLVが地球へ降下していました。HLVの着地点に連邦軍のモビルスーツ部隊が出撃し、HLVを包囲します。しばらくしてHLVの扉が開き、中からジオン軍のモビルスーツが現れます。連邦軍のモビルスーツがHLVを攻撃しようとしたとき、HLVからの通信が入ります。通信は、ケン・ビーダーシュタットからのもので、戦いの意志は無いことを告げていました。

<RECORD 15:Countdown to the destruction>
 地球へ降下したケン・ビーダーシュタット大尉、ニッキ・ロベルト中尉及びシャルロッテ・ヘーブナー中尉は、地球連邦アフリカ方面軍のハルツーム基地を訪れて、司令官のシュルツ・ノーマン大佐と話し合います。ケン大尉は、この地に潜伏しているジオンの敗残兵による大量殺戮兵器の使用を阻止しに来たと話します。数週間前、この基地から秘密裏に運び出された大量殺戮兵器を偶然にジオン残党が奪取しました。この事はまだ公になっておらず、公になってしまうとノーマン大佐は司令官の地位を失うことになり、ケン大尉はその事でノーマン大佐を半分脅す事でこの件への関与を認めさせます。
 ノーマン大佐は、この基地のパイロットであるマックス・ブロア大尉の部隊に、ケン大尉達と同行するよう命じ、更に内密にケン大尉達が寝返ったら背中から撃てと命じます。ケン大尉のゲルググ、ニッキ中尉及びシャルロッテ中尉のザク、マックス大尉達の3機のジム改は出撃し、ジオン残党の拠点を目指します。ケン大尉達がジオン残党の拠点に近付くと、1台のギャロップが逃走し、ジオン残党が使っているジム及びドムが攻撃してきます。鹵獲したジムにはレンチェフが乗り、ドムにはソフィ・フランが乗っていました。ソフィのドムは、シャルロッテのザクの頭部を破壊します。レンチェフ及びソフィは、2人を説得しようとしたニッキ及びシャルロッテを捕虜とし、逃走します。マックス大尉はジオン残党の攻撃でジムが大破した部下達に基地からの救援を待つよう指示し、ケン大尉と共にジオン残党を追います。ケン大尉と2人きりになったマックス大尉は、ジオン残党に奪われた兵器が何なのかを尋ねます。
 捕虜となったニッキ及びシャルロッテは、レンチェフ及びソフィを説得しようとしますが、説得は受け入れられませんでした。
 その頃、月ではマット及びメイが、逮捕されたジェイクに面会していました。ジェイクはこのままでは死んだユウキが浮かばれないと言い、メイはユウキがこんな事は望んでいないと答えます。
 ケン大尉は、ジオン残党に奪われた兵器が気化爆弾である事をマックス大尉に話します。司令官のノーマン大佐は、基地の地下保管庫で発見した気化爆弾を、連邦軍本部へ報告せずに、横流ししようとしてジオン残党に奪われました。マックス大尉は、過去に故郷のポートモレスビーで気化爆弾に関わった経験かあることをケン大尉に話します。
 気化爆弾を宇宙へ運ぶためのシャトルが飛来し、これと合流したジオン残党は気化爆弾の積み込みを始めます。ケン大尉のゲルググ及びマックス大尉のジム改がこれを阻止すべく突入し、2人の前にレンチェフの鹵獲ジムが立ちふさがります。一方、ソフィは、捕虜となっていたニッキ及びシャルロッテを逃がします。
 ケン大尉のゲルググ及びレンチェフの鹵獲ジムは互角の戦いを繰り広げます。しかしマックス大尉のジム改は、戦いの途中でケン大尉のゲルググを連れてその場から急いで離れます。その直後、上空から多数のミサイルが飛来して辺りに降り注ぎます。遅れてやってきたノーマン大佐の陸戦艇ミニトレーによる無差別の攻撃でした。ノーマン大佐は全てを破壊するつもりで攻撃を行いましたが、気化爆弾を積んだシャトルは攻撃を避けて発進し、宇宙へと上がって行きます。ケン大尉のゲルググがシャトルを追って撃墜しようと試みますが、攻撃は届きませんでした。その後、ノーマン大佐は査問委員会へ出頭する事になります。
 宇宙へ上がったシャトルは、待機していた仲間達に気化爆弾を受け渡します。気化爆弾を受け取ったのは、元ジオン軍のリリア・フローベール、ギュスター・バイパー及びユイマン・カーライルでした。

<RECORD 16:Thing to cause a new battle>
 ジオン残党は、人工衛星基地ロードスに気化爆弾を持ち込んでいました。ジオン残党は、惑星間航行用核パルス推進ブースターに気化爆弾を搭載し、サイド3のジオン共和国を攻撃する「狼の鉄槌」作戦を決行しようとしていました。ブースターは本来は無人飛行する予定でしたが、メイの協力を得られなかったため有人飛行に変更され、ブースター制御用にケンプファーが接続されていました。ケンプファーの操縦は、リリアが担当する事になります。
 マット及びメイは、ジオン残党が気化爆弾でサイド3を攻撃しようとしていることまでは分かっていましたが、気化爆弾の行方が分からずにいました。マットは、ティターンズのフォルド大尉及びエイガー大尉にもこの情報を伝えていました。フォルド大尉及びエイガー大尉は、ティターンズの上部にこの事を進言しますが、ティターンズはこの事件がジオン内部の問題であり、不干渉を決めます。その上、エイガー大尉には転属命令が下り、厄介払いされてしまいます。メイは気化爆弾の事をジオン共和国のダグラス・ローデン少将に伝え、ローデン少将は防衛作戦を見直します。
 ギュスターはサイド3を攻撃する作戦に疑問を感じていましたが、リリアは死んだマレット隊長のために作戦を実行する決意でした。
 フォルド大尉は通勤の偵察任務で2人の部下と共にジム・クゥエルで出撃します。部下の1人は、エイガー大尉が転属になったことや、気化爆弾の噂を上層部が無視している事などに不満を持っており、その事をフォルド大尉に愚痴ります。フォルド大尉は、この部隊に嫌気がさし、あることを決意します。
 リリアが乗るケンプファー付きのブースター、通称「シルバーランス」は、ギュスター及びユイマンのリック・ドムIIを護衛にして、基地から出撃します。

<RECORD 17:Inherited The LEGACY>
 気化爆弾を持つジオン残党軍が出撃したとの情報がサイド3のジオン共和国に入ります。気化爆弾は真空中では何の威力も発揮しませんが、コロニー内で使用されれば壊滅的な被害が発生する可能性がありました。ジオン共和国の軍上層部は楽観視していましたが、ローデン少将は自力で動かせる戦力を総動員して防衛に当たらせます。
 ローデン少将の防衛艦隊は、連邦軍のモビルスーツの接近を検知します。ジオン残党軍のものではなさそうでしたが、ガースキー・ジノビエフ大尉の部隊が確認に向かいます。接近する連邦軍のモビルスーツは、フォルド大尉及びその部下達の3機のジム・クゥエルでした。フォルド大尉及びその部下達は、処罰を覚悟でジオン残党軍の攻撃からジオン共和国を守るために駆け付けました。フォルド大尉と通信したガースキー大尉は、ティターンズを信じていいものかと話し、フォルド大尉はパイロット・スーツに付いていたティターンズの腕章を握りつぶしてみせます。ガースキー大尉は、マット及びメイからフォルドの事を聞いた事もあり、フォルド大尉を信じる事にします。
 気化爆弾を搭載したジオン残党軍のブースターの接近が検知され、防衛艦隊が用意していたプラズマビーム砲による砲撃が行われます。この砲撃でブースターは破壊されますが、その後から多数のブースターが出現します。ジオン残党軍の「狼の鉄槌」作戦に賛同した同士達により多数のダミーブースターが発射され、本物のブースター「シルバーランス」はその中に紛れ込んでいます。プラズマビーム砲の発射には時間がかかるため、モビルスーツ部隊でのブースター破壊が必要でした。防衛艦隊のモビルスーツ部隊と共に、フォルド大尉達も本物のブースターを探します。
 そしてフォルド大尉達は本物のブースターを発見し、これを破壊しようとしますが、護衛に付いたギュスター及びユイマンのリック・ドムIIに邪魔されます。このままブースターに防衛線を突破されそうになりますが、エイガー大尉のジム・キャノンIIが1機のボールと共に駆け付けます。ボールにはアンカーが装備され、マット及びメイが乗っていました。エイガー大尉はアンカーをブースターへ向けて発射し、ブースターに刺さったアンカーを辿ってボールがブースターへたどり着きます。そしてブースターは防衛線を突破し、サイド3を目指して加速します。ブースターは防衛艦隊の手の届かない場所へ至り、サイド3のジオン共和国の運命はマット及びメイに託されます。
 ボールでブースターに取り付いたマット及びメイは、ブースターの内部へ侵入します。メイは、ブースターの制御を乗っ取って停止させます。リリアはブースターの内部へ入り、メイに銃を向けます。リリアは銃を撃ち、マットはメイを庇い、腕に怪我をします。リリアはブースターに固定されているケンプファーに乗り込み、気化爆弾を持たせてブースターから切り離します。
 ケンプファーの目の前には、追ってきたフォルド大尉のジム・クゥエルがいました。このジム・クゥエルのパイロットがマレットを殺した者だと知ったリリアは、気化爆弾をジム・クゥエルに叩き付けますが、気化爆弾は真空中で効果を発揮しませんでした。
 その後、ジオン残党軍のメンバーは逮捕されます。この事件の裏には、ティターンズの関与がありましたが、確たる証拠は残されていませんでした。ティターンズは、気化爆弾を手にしたジオン残党がサイド3を狙うよう裏工作をしていたようでした。
 半年後。ティターンズを除名され、連邦軍の少尉に降格させられたフォルド少尉及びエイガー少尉は、ミユ・タキザワ中尉及びノエル・アンダーソン中尉の下で、訓練生の教官をしていました。マット及びメイは、アーティジブラルタル宇宙港で、地球から戻って来たケンに再会します。

 以上が、夏元雅人さんの漫画「GUNDAM LEGACY」第3巻の各話の物語です。
 1作品目は、お決まりの「戦争が終わったら彼女と・・・」という台詞を吐いた隊長があっさり死亡する、分かり易い死亡フラグの物語でした。撃墜数0のパイロットが自機をパーソナルカラーの黒に塗装するなんて事が認められているのが不思議です。
 4話分の中編は、オールスター感謝祭という特徴の他には特に面白くもない作品でした。内容が適当過ぎました。気化爆弾持ってサイド6に特攻する?訳わかりません。その後は描かれていませんでしたが、逮捕されたジオン残党の人達は、もちろん処刑されてしまったのでしょうね。ティターンズが生かしておくとは到底思えないです。
 作者のオリジナリティを出そうとせず、もっとガンダムの歴史上で有名な出来事を描くという初期のプランを維持した方が良かったのではないかと思えます。うーん。

 

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 夏元雅人さんの漫画「GUNDAM LEGACY」第2巻は、2009年2月に発売されています。
 一話~数話の読み切り形式の短編作品の集合体として構成される漫画「GUNDAM LEGACY」の第2巻です。第1巻は宇宙世紀の歴史において重要な場面を抜き出した物語が主でしたが、第2巻は歴史的に重要ではないややローカルな物語が主でした。夏元雅人さんのこれまでのガンダム漫画や、類似のゲーム系ガンダム外伝作品の前後の時期を描いた作品が目立ち、ガンダムシリーズの外伝の更に外伝という印象でした。
 それでは以下、夏元雅人さんの漫画「GUNDAM LEGACY」第2巻のあらすじを記載します。ネタバレ注意です。

<RECORD 07:ジャブローの邂逅>
 宇宙世紀0079年11月末。ジャブロー施設内のシミュレーションルームで、エイガー少尉がガンダム6号機のシミュレーションを行っていると、フォルド・ロムフェロー中尉及びルース・カッセル中尉がやってきます。フォルド中尉はガンダム6号機のシミユレータを試したいと言い、エイガー少尉は許可します。エイガー少尉は、ルースの実力を認めますが、戦争をゲーム感覚で考えているといつか後悔する事になると忠告します。
 その後もフォルド中尉及びルース中尉が乗る準ホワイトベース級強襲巡洋艦サラブレッドは発射待ちの状態が続き、ジオン軍によるジャブロー攻撃作戦が始まります。ジャブロー内へ侵入したザクがサラブレッドを発見して攻撃しようとしますが、エイガー少尉のガンダム6号機がサラブレッドを守ります。フォルド中尉のガンダム5号機及びルース中尉のガンダム4号機は宇宙仕様のために出撃出来ませんでした。
 ジオン軍によるジャブロー攻撃は失敗に終わり、その後にサラブレッドは宇宙へ向けて発進します。

<RECORD 08:部隊>
 宇宙世紀0079年11月。ジオン軍のリリア・フローベール中尉、ギュスター・バイパー中尉及びユイマン・カーライル中尉の3人は、輸送艦でグラナダ基地へ向かっていました。3人は、マレット・サンギーヌ大尉が隊長を務める「グラナダ特戦隊」に編入される予定でした。ギュスター中尉は、同期のマレット大尉の下につくことを快く思っていません。最年長のユイマン中尉は、元はマレット大尉の指導教官でしたが、マレット大尉が隊長となることを納得しているようでした。リリア中尉も特に不満は抱いていません。リリア中尉はペンダントをお守りにしており、これをギュスター中尉が馬鹿にしますが、ユイマン中尉がこれをおさめます。
 グラナダでは、マレット大尉が自分用のモビルスーツが届いていないことに苛立っていました。そこへ、マレット大尉の部下達を乗せた輸送艦が連邦軍の艦隊の砲撃を受けているという知らせが届きます。マレット大尉は、別のモビルスーツとマスドライバーとを用意させ、自ら出撃します。
 補給艦ではリリア中尉達が応戦のために出撃しようとしていました。連邦軍の攻撃で補給艦に穴が開き、リリア中尉がお守りにしていたペンダントが空気と共に宇宙空間へ排出されてしまいます。3人はリック・ドムで出撃しますが、お守りを失ったショックで手が震えるリリア中尉はモビルスーツを操縦出来なくなってしまいます。そこへマレット大尉のリック・ドムIIが現れてリリア中尉のリック・ドムの腕を掴み、マレット大尉はリリア中尉を叱咤激励します。これでリリア中尉の震えは止まります。マレット大尉は連邦軍のモビルスーツを次々と撃破していき、リリア中尉には敵艦を沈めるよう命じます。リリア中尉は、マレット大尉の下でなら戦えると感じ、命令通り敵艦を沈めます。

<RECORD 09:リトル・ウォーズ>
 宇宙世紀0087年。サイド7の1バンチコロニー「グリーン・ノア1」の軍施設廃材置き場で、ウィル、リバー及びジェリーの3人の少年が、廃材をあさっていました。ウィルは、新品同様のMS用モーターを発見して喜びますが、巡回の兵士に見つかりかけて大急ぎで逃げ出します。
 無事に逃げ延びて3人が喜んでいると、父親がティターンズの軍人である事で威張り散らしているキーファーが取り巻きの数人を引き連れて現れ、ウィル達を馬鹿にします。ウィルが反抗する態度を見せたことでキーファー達と喧嘩になりそうになりますが、キーファーが連れていた1人の少女が止めます。
 自分達の作業場へ戻ったウィル達は、持ち帰ったモーターを使って、自分達のジュニア・モビルスーツ「ゴーディ」を完成させます。これは近く開催されるジュニア・モビルスーツの大会に出場するためのものでした。そこへ、先程キーファーと共にいた少女が差し入れを持ってやってきます。この少女は、キーファーの妹のシェインでした。シェインは、学年トップの秀才で、ウィル達に協力的でしたが、ウィルはシェインに冷たい態度を取っていました。シェインは完成したゴーディのデータを見て何かを言おうとしますが、ウィルはシェインをスパイ扱いして追い返します。
 ジュニア・モビルスーツ大会が始まり、ゴーディは様々な種目で高得点を出し、予選を突破して決勝への進出を決めます。しかし、廃材置き場で手に入れた軍用のモーターの出力が高過ぎ、その負荷で腕のアクチュエータが壊れてしまいます。一方、キーファーも軍用部品を使った特別製のジュニア・モビルスーツ「ケーニッヒ」で決勝戦進出を決めていました。決勝戦は、ウィル達のゴーディ対キーファーのケーニッヒによる直接対決となりました。
 決勝戦前、ウィル達はゴーディの腕を修理する必要がありましたが、アクチュエータの予備部品はありませんでした。そこへ、シェインがアクチュエータを持って現れます。シェインは、ゴーディのデータを見たときにモーターの出力がアクチュエータに負荷をかけることを予測していました。シェインは、アクチュエータをウィル達に渡し、兄の目を覚まして欲しいとウィル達に頼みます。
 ゴーディの腕の修理が完了し、決勝戦が始まります。キーファーのケーニッヒはウィルのゴーディに猛攻をかけ、ウィルはゴーディに防御姿勢を取らせ続けます。ケーニッヒは軍用部品の高負荷で故障し、動けなくなったケーニッヒをゴーディが投げ飛ばして勝利します。審査員の1人だったキーファーの父は、敗北を人のせいにするキーファーを叱り、ウィル達にキーファーの無礼を詫びて、賞状をウィル達に渡します。その後、記念撮影が行われ、ウィルはシェインを誘い、シェインを含めた仲間4人で撮影を行います。

<RECORD 10:奪還作戦(前編)>
 宇宙世紀0079年3月。地球連邦軍ポートモレスビー基地へ、哨戒任務を終えた2機の戦闘機フライ・アローが帰還しようとしていました。2機のパイロットは、マックス・ブロア少尉及びジミー・ウィル少尉です。基地の近くの街には、ジミー少尉の婚約者アンジェリーナが住んでいます。しかし基地はジオン軍のモビルスーツ・ザクによる襲撃を受けていました。ポートモレスビー基地及び街はジオン軍に占領され、マックス少尉及びジミー少尉は帰還する事が出来ませんでした。
 宇宙世紀0079年5月。ポートモレスビー基地の奪還作戦が発令され、ジュノー級潜水艦フレガートが作戦に参加するために現地へ向かっていました。フレガートは、途中で別方面からやってきた同型潜水艦アナンタと合流します。フレガートの艦長クランシー少佐がメッセージを送ると、アナンタの艦長ブーフハイム中佐から我が艦にはジオン掃討の切り札があると返事が来ます。クランシー少佐は切り札とは何か聞かされていませんでした。その後、フレガート及びアナンタは、航空母艦ウエストモーランドを中心とする海上艦隊と合流します。
 航空母艦ウエストモーランドには、マックス少尉及びジミー少尉がいました。2人は空軍から海軍の航空部隊へ配属が変わり、二人乗りの対潜攻撃機ドン・エスカルゴが与えられていました。マックス少尉が操縦担当、ジミー少尉が砲座担当です。ジミー少尉は、ポートモレスビーを奪還してアンジェリーナと結婚する事を待ち望んでいました。
 海上艦隊はジオン軍の接近を感知し、戦闘態勢に入ります。マックス少尉及びジミー少尉はドン・エスカルゴで出撃します。海戦では連邦軍が優勢のはずでしたが、クランシー少佐は胸騒ぎを覚えます。これは的中し、ジオン軍は水中で活動可能なモビルスーツ「ゴッグ」を投入し、海上艦隊は壊滅します。マックス少尉はドン・エスカルゴで1機のゴッグを倒しますが、ドン・エスカルゴは海上に墜落します。

<RECORD 11:奪還作戦(後編)>
 連邦軍の海上艦隊を壊滅させたジオン軍は引き上げて行きます。海上を漂っていたマックス少尉及びジミー少尉は、潜水艦フレガートに救助されます。連邦軍の残存兵力は、潜水艦フレガート及びアナンタの2隻のみでした。フレガートには2機のコア・ファイターが積まれており、マックス少尉及びジミー少尉はこの2機のパイロットを任されます。
 フレガートのクランシー少佐とアナンタのブーフハイム中佐との間で話し合いが行われます。ブーフハイム中佐は残った2隻の潜水艦で作戦続行を主張し、クランシー少佐は反対しますが、ブーフハイム中佐はクランシー少佐に銃を向けて追い返し、こちらには切り札があると言って単艦で敵地へ向けて出発します。クランシー少佐は、ブーフハイム中佐の切り札が条約で禁止された大量破壊兵器であると推測し、使用を止めるためにフレガートでアナンタを追う事を決めます。
 クランシー少佐は、フレガートの乗員に対してブーフハイム中佐が「気化弾頭ミサイル」を使う恐れがあり、これを阻止するためにアナンタを追うことを告げます。クランシー少佐は、アナンタが気化弾頭ミサイルを発射したらフレガートの魚雷でこれを破壊する事を考えます。これに失敗した場合には、コア・ファイターが空中でミサイルを撃墜するという二段構えの作戦です。
 ポートモレスビーへ向かうアナンタにジオン軍のゴッグ部隊が接近し、アナンタに取り付きます。ブーフハイム中佐は気化弾頭ミサイルを発射させ、これに応じてフレガートから魚雷が発射されますが、ミサイルを破壊する事は出来ません。ミサイル発射後、アナンタはゴッグの攻撃で爆発します。
 ミサイルの弾道計算の結果、ミサイルは一度成層圏まで上がり、その後に垂直降下して、こちらには18分後にはポートモレスビーに直撃する事が分かります。マックス少尉及びジミー少尉が2機のコア・ファイターで出撃してミサイル撃墜へ向かいますが、ジオン軍の戦闘機が攻撃してきます。この攻撃でジミー少尉のコア・ファイターが撃墜され、マックス少尉のコア・ファイターもダメージを受けて攻撃機能が動かなくなります。しかしコア・ファイターの照準ロックの機能は生きており、マックス少尉はコア・ファイターでミサイルに対する照準をロックし、これに連動させてフレガートから迎撃ミサイルを発射する事を提案します。
 アナンタを撃沈させたゴッグ部隊は、迎撃ミサイルを発射しようとしているフレガートに接近して取り付きます。クランシー少佐は、ジオン軍に対して一時停戦を要求します。ジオン軍の潜水艦のドルフ艦長は、現状を理解していましたが、フレガートが発射しようとしているミサイルが自分達を攻撃するものではないと何故言えるのかと問います。クランシー少佐は、今は信じてもらうしかないと答え、攻撃したければするがいいと言って迎撃ミサイルを発射させます。
 フレガートから発射されたミサイルは、ジオン軍の攻撃を受ける事なく気化弾頭ミサイルへ向かい、マックス少尉のコア・ファイターの照準に従って気化弾頭ミサイルを撃ち落とします。コア・ファイターは気化弾頭ミサイルの爆発に巻き込まれますが、マックス少尉はコア・ファイターを脱出し、パラシュートで海面に着水します。マックス少尉を拾い上げたのは、ゴッグでした。
 その後、ジオン軍の潜水艦がフレガートに接近してきます。ジオン軍の潜水艦からマックス少尉か現れ、フレガートへ無条件に引き渡されます。ジオン軍のルドルフ艦長は、連邦軍兵士の遺体を回収して水葬しただけだと説明します。
 ポートモレスビーの基地及び街は守られましたが、連邦軍による奪還作戦は失敗に終わりました。

<RECORD 12:オーガスタの一番暑い日>
 宇宙世紀0082年。地球連邦軍の北米オーガスタ基地へミユ・タキザワ少尉が着任します。タキザワ少尉は、一年戦争でサラブレッド隊のガンダム専任オペレータとして活躍した事で有名な女性でした。タキザワ少尉は、オーガスタ基地に所属していたノエル・アンダーソン少尉に挨拶します。2人はライバル意識を燃やし、互いがオペレータを務める部隊同士の模擬戦で決着をつける事になります。
 模擬戦は、3対3のモビルスーツ戦で、相手陣地にフラッグを立てた方が勝ちというルールになります。ミユ・タキザワ少尉のチームは、クラスト少尉のジム・カスタム、レナード少尉のジム・コマンド及びギュナイ少尉のジム・スナイパーIIです。ノエル・アンダーソン少尉のチームは、ヤン曹長のジム・キャノン、ロバウト少尉の陸戦型ジム及びトクシマ少尉の装甲強化型ジムです。模擬戦は、僅差でノエル・アンダーソン少尉チームが勝利します。
 模擬戦の後、ミユ・タキザワ少尉及びノエル・アンダーソン少尉は、お互いを認め合い、仲良くサウナに入りますが、サウナの中で口論となり、もう一度模擬戦で勝負しようと言い出します。

 以上が、夏元雅人さんの「GUNDAM LEGACY」第2巻に収録された各話の物語です。
 1話目は、「機動戦士ガンダム外伝 宇宙、閃光の果てに…」及び「ジオニックフロント 機動戦士ガンダム0079」のパイロットたちの一瞬の出会いを描いた物語でした。両方を知っていないと、何これ?誰これ?になってしまいそうな内容です。幸いにも、私は両方とも知っていましたが。
 2話目は、「機動戦士ガンダム外伝 宇宙、閃光の果てに…」の敵側キャラクタ達の物語でした。あのマレット隊長がどうして3人の部下に慕われているのかという謎を解き明かす内容なのだと思うのですが、やはりマレットを隊長にしたのは間違いのように思えてなりません。
 3話目は、カミーユが優勝したことで有名なジュニア・モビルスーツ大会を題材にした物語で、オリジナルキャラクタの子供達が主役でした。これ、ガンダムでなくてよくないか?という疑問もありますが、まぁ一作品くらいそんなものが混ざっているのもアリでしょう。
 4話目及び5話目は、一年戦争初期の連邦海軍vsジオンMSの物語でした。婚約者の写真を大事に持っている戦闘機のパイロットという、あからさまな死亡フラグが立っているキャラクタが、やっぱり死んでしまいました。あまり活躍もせずに死んでしまって、やや拍子抜けでしたが。どうせならミサイルに特攻して死ぬくらいの派手な最後にしてあげたかったです。
 6話目は、「機動戦士ガンダム外伝 宇宙、閃光の果てに…」及び「機動戦士ガンダム戦記 Lost War Chronicles」のヒロイン対決の物語でした。まぁ、どーでもいい内容でした。2人のヒロインの水着姿を作者が描きたかっただけのように思えます。1話目と同じく、両方の作品を知っていないと、何これ?誰これ?な作品です。

 

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 夏元雅人さんの漫画「GUNDAM LEGACY」は、2004年8月から2009年4月まで雑誌ガンダムエースで連載された作品です。単行本は全3巻が発売されています。第1巻は2008年12月に発売されています。連載期間が長い割に巻数が少なく、第1巻の発売が連載開始からかなり後になっているのは、連載が途中で長期休載していたためです。何か大人の事情かあったのでしょう。
 「GUNDAM LEGACY」は、一話完結の短編を集めて構成されています。たまに、2~3話続く場合もありますが。特に決まった主人公がいる訳ではなく、ガンダムの歴史上の有名人物やこれまでの夏元さんの作品の登場人物などが代わる代わる主人公となります。外伝作品の更に外伝みたいな感じですね。
 それでは以下、夏元雅人さんの漫画「GUNDAM LEGACY」第1巻のあらすじを記載します。ネタバレ注意です。

<RECORD 01:ルウムの影と光>
 宇宙世紀0079年1月15日。サイド5のルウム宙域で連邦軍及びジオン軍の大規模な艦隊戦が起こり、ミノフスキー粒子とモビルスーツとを導入したジオン軍に連邦軍は敗北します。連邦軍のレビル将軍は旗艦アナンケから脱出しますが、ジオン軍の「黒い三連星」と呼ばれるガイア中尉、マッシュ少尉及びオルテガ少尉の3人が乗る3体のザクがレビル将軍の脱出艇を捕獲します。
 ジオン本国へ連行されたレビル将軍は、勢い付いているジオン軍も内情では兵士が不足していることを感じます。連邦軍の特殊部隊がジオン本国へ侵入してレビル将軍を救出し、ジオンを脱出します。ジオン軍は南極条約締結のために出払っており、警備が手薄になっていました。脱出したレビル将軍は、ジオンに兵はいないと広く放送で演説し、連邦軍は徹底抗戦を決意します。ジオン軍に有利な終戦協定となるはずだった南極条約は、核兵器等の使用禁止、中立地域への攻撃禁止、捕虜の扱いの確認のみの戦時条約に変更されました。またレビル将軍は、モビルスーツの有効性を感じ、連邦軍でもモビルスーツの開発を進めるべく「V作戦」を発動します。

<RECORD 02:蒼き宇宙の彼方に>
 宇宙世紀0079年。とあるコロニーに近い宇宙空間。連邦軍のユウ・カジマ中尉が乗るブルーディスティニー3号機と、ジオン軍のニムバス・シュターセン大尉が乗るブルーディスティニー2号機との一騎打ちが行われていました。この勝負はユウが勝利し、ブルーディスティニー2号機は爆発してニムバスは死亡します。
 宇宙世紀0093年。シャアの反乱により小惑星アクシズが地球へ落下しようとしていました。地球連邦軍のユウ・カジマ大尉が率いるジェガンの部隊は、アクシズの落下を阻止すべくネオジオンとの戦いに参戦していました。ロンド・ベル隊がアクシズ内部から破壊を行い、アクシズは大きく2つに分断されますが、一方の破片は地球へ落下する軌道を外れませんでした。その事を知ったユウは、落下を阻止しようとアクシズへ向かいます。すると、アクシズの表面には、連邦軍及びネオジオン軍の両方のモビルスーツが張り付き、アクシズを押し返そうとしていました。ユウのジェガンもその中に加わり、アクシズを全力で押し返します。しかしアクシズの落下は止まらず、ジェガンは限界に達します。そのとき、どこからか湧き出た光がユウのジェガン及び周囲のモビルスーツ達をアクシズ表面から離脱させていきます。ユウは、この光が優しく暖かなものだと感じます。
 アクシズは奇跡的に地球への落下軌道を外れます。ユウは、あのときの光が何なのかを説明出来ませんでしたが、人は変わっていけるということを信じられる希望があると感じていました。

<RECORD 03:狼の紋章>
 宇宙世紀0079年3月。ジオン軍の「闇夜のフェンリル隊」が地球へ降下します。闇夜のフェンリル隊は、パッシブ・ソナーやサーマル・センサー等の効果を実戦で試す事が任務でした。
 闇夜のフェンリル隊は地球の各地で戦果を挙げますが、地球でのジオン軍の勢力は徐々に弱まっていきます。キャリフォルニア・ベースでは宇宙へ戻るためのHLVの打ち上げが行われ、闇夜のフェンリル隊はHLVの打ち上げを援護する任務が与えられます。この任務は、闇夜のフェンリル隊が宇宙へ戻る事が出来ない事を意味し、ゲラート・シュマイザー少佐は、隊を抜けて宇宙へ戻ってよいと部下達に告げ、隊に残るか否かを各人の判断に委ねます。しかし闇夜のフェンリル隊の隊員達は全員が地上に残って任務を全うする事を選択します。このとき、闇夜のフェンリル隊には、ル・ローア少尉、ニッキ・ロベルト少尉、マット・オースティン軍曹、マニング軍曹、レンチェフ少尉、サンドラ少尉、ソフィ・フラン少尉、シャルロッテ・ヘーブナー少尉、リィ・スワガー曹長の9人のパイロットがいました。またミガキ班長を含む整備班の人々も地上に残ります。
 HLVの打ち上げを支援する闇夜のフェンリル隊の前に、連邦軍のガンダム6号機マドロックが現れます。闇夜のフェンリル隊は、スモーク・グレネードの煙幕とサーマル・センサーとを駆使してマドロックにダメージを与えて撤退させます。HLVの打ち上げ完了後、闇夜のフェンリル隊は潜水艦でキャリフォルニア・ベースを脱出しました。

<RECORD 04:落日の群狼>
 宇宙世紀0079年12月下旬。北アフリカにおける連邦軍最大の補給基地であるアレキサンドリア軍港では、大規模なジオン軍掃討作戦の準備が進められていましたが、闇夜のフェンリル隊の強襲を受けます。闇夜のフェンリル隊は、3機のモビルスーツで基地の重要施設のみを的確に破壊して迅速に撤退します。この戦いの様子をジオン軍のロンメル隊が眺めていましたが、ロンメル中佐は援軍の必要はなさそうと判断して引き返して行きます。
 その後、アレキサンドリア軍港にエイガー中尉がやってきます。エイガー少尉は、モビリスーツも持たずに、単身でこの基地へやってきました。
 闇夜のフェンリル隊は、残留ジオン軍拠点基地へやってきます。この基地の司令官がロンメル中佐でした。ロンメル中佐は、闇夜のフェンリル隊がこの基地の所属部隊となることを歓迎し、宴会を開きます。宴会の席でロンメル中佐はジオン及びザビ家の為に戦うと語り、ゲラート少佐はスペースノイド解放の為に戦うのであってザビ家の為に戦うのではないと語ります。ロンメル中佐は、考えの違いがあっても戦う意志は同じであり、共に戦おうと語ります。
 残留ジオン軍拠点基地を囲むほどの連邦軍の大部隊がやってきます。連邦軍は、ジオン共和国との休戦協定が結ばれたと告げ、残留ジオン軍に投降を呼び掛けてきます。またロンメル中佐の元には、ギレン及びキシリアが戦死したとの情報がもたらされます。敗戦の衝撃を隠せないロンメル中佐に対し、ゲラート少佐は闇夜のフェンリル隊に出現準備を命じます。

<RECORD 05:砂上の陽炎>
 ロンメル中佐は、徹底抗戦の構えで、包囲している連邦軍に戦いを挑みます。ジオン本国との連絡は取れず、終戦協定が本物か連邦軍の罠かの判断は出来ません。闇夜のフェンリル隊は、ロンメル中佐の部隊を見捨てる訳にも行かず、援護に出撃します。ロンメル中佐は、敵の数の多さに一旦退却する事を決めます。退却するロンメル隊に対し、連邦軍が追撃してくる様子はありませんでした。連邦軍は無駄死したくないという雰囲気であり、この事からゲラート少佐は終戦協定が本当の事だと判断します。
 ロンメル中佐は、連邦軍の投降勧告には従わず、この基地を捨てて脱出し、再起を図る事を決めます。ゲラート少佐は、ロンメル隊が脱出する援護のために残る事を決めます。ロンメル隊は連邦軍の包囲網の一部を破って撤退を開始し、闇夜のフェンリル隊はそれを援護します。
 包囲する連邦軍の部隊に同行していたエイガー少尉は、撤退する部隊を援護しているのが闇夜のフェンリル隊だと確信します。闇夜のフェンリル隊と戦ってきたエイガー少尉は、闇夜のフェンリル隊を戦友のように感じていました。エイガー少尉は、闇夜のフェンリル隊に投降するよう説得すべく、1人で闇夜のフェンリル隊の元へ向かいます。

<RECORD 06:盟友>
 宇宙世紀0077年7月。サイド6の市街地で行われた革命運動の鎮圧にモビルスーツザクが出動し、これが公式なモビルスーツの初の実戦参加となりました。このときにザクの一機を操縦していたのがガデム大尉でした。任務を終えて帰還したガデム大尉は、メカニックのゴードンに、相手がすぐに降伏してしまったためモビルスーツの意味がなかったと愚痴ります。2人はモビルスーツの初期段階から開発に関わってきた仲でした。
 その後、モビルスーツは戦果を挙げ始め、後継機のザクIIが完成します。モビルスーツの登場により、ジオンでは独立の気運が高まっていました。
 あるとき、ゴードンは休暇を取って一度故郷へ帰るとガデム大尉に話します。戦争が始まる前に孫の顔を見たいという理由でした。ゴードンの故郷は、「キンツェム」というコロニーにあり、大使館の近くの赤い屋根の家でした。
 ジオン公国は戦争への準備を着々と進め、ガデム大尉は補給艦の艦長に任命されます。ただしこれはまだ先の話でした。その前にガデム大尉は、キンツェムで計画されているクーデターに備えて、モビルスーツ部隊を率いてキンツェムへ向かう事になります。キンツェムには帰郷しているゴードンがいるはずで、ガデム大尉は嫌な予感がしました。
 ガデム大尉がキンツェムに到着するとクーデターが発生しており、ガデム大尉のモビルスーツ部隊が鎮圧のために出動します。ザクIで出動したガデム大尉は、大使館の近くの赤い屋根の家がクーデターの戦車で破壊されているのを発見します。ガデム大尉は戦車を破壊し、クーデターを鎮圧します。
 その後、ガデム大尉はゴードンの墓に、補給艦の艦長になった事を方向し、ゴードンが作り上げたモビルスーツ達を戦地へ運ぶ事を誓います。

 以上が、夏元雅人さんの「GUNDAM LEGACY」第1巻に収録された各話の物語です。
 数話に跨がるものもありましたが、基本的には相互に関連しない短編の物語を集めたもので、どの物語もガンダムシリーズの歴史的な出来事をサラッと描いて終わりでした。何というか、漫画日本の歴史の宇宙世紀版のような印象でした。夏元雅人さんのこれまでの長編作品は、ストーリー展開に難があるものが多く、逆に本作のような短編の方がストーリーが破綻する事もなく、面白く読むことが出来ました。夏元さんは短編向きな気がします。絵は綺麗ですから、その点では評価高いです。
 1話目は、レビル将軍の物語でした。ガンダムの歴史上で重要な「ジオンに兵なし」の話でした。
 2話目は、ガンダム外伝のゲーム「ブルーディスティニー」の物語でした。小説版のプロローグを漫画化したものと思われます。ユウがアクシズを押し返そうとしたジェガンの一機に乗っていたというのは、小説版オリジナルだと思うのですが、公式設定なのでしょうか。
 3~5話目は、これもガンダムの外伝的ゲーム「ジオニックフロント」の物語でした。これも小説版のエピローグ部分に、ZZに登場したロンメル隊を絡めて物語を膨らませたもののようです。
 6話目は、初代ガンダムに登場したガデム大尉を主人公とした物語でした。ガデム大尉は、今ではザクIと呼ばれている旧ザクのパイロットとしてアムロのガンダムに挑んだ有名人ではありますが、これまで漫画の主人公として扱われた事はないでしょう。なかなか渋い所をついてきますね。

 

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